「実体調査」では、屋内の100ボルト配線をくまなく調べます
「実体調査」という言葉は、私共が行う調査方法の呼び名です。
恐らく他の調査会社では「実体調査」を行っておらず、また呼び名すら存在しないでしょう。
上の図は、一般的なご家庭の「実体調査報告書」の一部を抜粋した間取り図です。
当調査物件は2階建てであり、1階部分だけでもこれだけの数が盗聴・盗撮可能箇所として挙げられます。
これらは全て「屋内の100ボルト配線(屋内電灯線)」上に位置し、普段は「コンセント」や「スイッチ」、「照明用電源」などとして使われています。
しかし、供給源本体が壁などに埋め込まれている為、普段はその実体に触れる事がありません。
「実体調査」では、盗聴・盗撮機器の動力の源泉である100ボルト配線を直接調べ、不審物の有無の根拠とします。
盗聴・盗撮機器に必要なのは供給電源です。
従って、『本当の不審物調査とは、屋内の100ボルト配線経路の末端までをくまなく調べる必要がある』と考えています。
この記事の目次
2,コンセントの「実体調査」(画像と解説) |
3,盗聴器が発見された時の模様(画像と説明) |
4,スイッチの「実体調査」(画像と説明) |
5,浴室天井裏の「実体調査」(画像と説明) |
6,照明器具の「実体調査」(画像と説明) |
7,家電製品の「実体調査」(画像と説明) |
8,屋根裏の「実体調査」(画像と説明) |
多くのかたが「電波調査」だけを利用していたのをご存知ですか?
そもそも「電波調査」とは
「電波調査」とは、文字通り電波を調査することです。
その内容は、主に室内を飛び交う電波を拾い、その実態を解き明かす方法です。
ひと昔前の盗聴・盗撮行為は、アナログ方式の送受信で秘匿情報を収集するものや、電話回線上の※MDFに盗聴器を仕掛けるなど、スパイ映画で目にするようで、特別な行為でした。
その行為の多くは、簡易型の盗聴・盗撮機器を電波を利用して、機器の設置個所からあまり離れない距離で行われていたものです。
その為、「電波調査」は今だけ飛び交う電波を追跡し盗聴・盗撮機器の有無を判定する事でこと足りていました。
これまでは、盗聴・盗撮機器の調査と言えば、これらの調査方法が多用されていたのは事実です。
しかし、多種多用な盗聴・盗撮機器の出現で、調査・断定が出来るものが少なくなり、今では意味をなさなくなったように思えます。
「電波調査」では発見できない器機の多様性
例えば、「電波を使わない秘匿情報の集積が行われる機器には全く反応しない」や、「Wi-Fiを使った秘匿情報の漏洩には対応できない」、「携帯電話回線を使った盗聴・盗撮機器への対応ができない」…などです。
インターネットや携帯電話(スマートフォン)がより身近になり、便利になったことは盗聴・盗撮行為をも簡単に出来るようになった一因でもあります。
盗聴・盗撮界隈では、「デジタル盗聴・盗撮機器」の出現により収集された秘匿情報をインターネット網を使い、地球上のどこからも視聴する事が出来るようになっています。
更には、デジタル信号でやり取りするので盗聴・盗撮電波なのか判断が難しいケースがあったり、SIMカード(携帯電話回線)を使った高度な盗聴専門機器まで存在します。
これらにより、今後「電波調査」の存在意義そのものが薄れていくことも予測されます。
過去のササキ通信の「電波調査」も同じでしたが…
私共は、「電波調査」を始めた当初から疑念を持ち続けていました。
「電波調査」を行っても、お客さんの顔色の晴れる事が少ないのです。
これは、弊社へご依頼なさるお客さんの多くが、以前にも他業者で調査依頼をされている事実からもわかります。
業者を変えて、何度「電波調査」を行っても心が晴れない…。言葉を選ばず言えば、「電波調査地獄」とでも言いましょうか。
お客さまのご意見を聞きながら、最善の方法を模索するうちに「実体調査」の原型をおぼろげながら実践し始めました。
「電波調査」をしながら、「コンセント」や「スイッチ」を解放してお客さまに見ていただいたんです。
「電波調査」脱却の足掛かりは、お客さまからいただきました
弊社はもともと電気工事に参入していました。従って電気機器全般の原理と原則はよく知っていたのです。
ですから、お客さまのお悩みと解決方法を模索するにつれ、一番重要な家庭内の屋内配線に着目出来たんです。
「電波調査」の限界を知りつつ、併せて屋内電気配線の点検を試みる作業をあるお客さま宅で実施させていただけたのです。
それはお客さまからのご要望でした。“サイト(弊社の従前サイト)を見ました。写真に掲載してあるバラし作業は出来ますか?”との問い合わせから始まったのです。
少々遠方のお客さまですが、私もこの調査方法に期待がありましたから、お客さまがどんな反応をするのかに強く興味があったのです。
※バラし作業とは、お客さまの表現です。近県での調査で、盗聴器を発見した際に撮影したコンセントの分解画像の掲載を従前のサイトに載せたものをお客さまがご覧になり、「バラし作業」と呼んだようです。
こちらの客さまも、何件もの「電波調査」を経て弊社のサイトに出会った訳ですが、中々我々のような「電波調査」以外の調査を行う業者に出会えなかったようです。反対に言えば、心底お困りの客様も「電波調査」にしか出会えない実状があるようです。
効果はてきめん
隠蔽されている屋内配線回路の目視が行われず「電波調査」のみで調査を完結させる行為は、例えばタイマーで動作する盗聴・盗撮機器や、何らかの理由で沈黙している装置の存在を否定出来ません。
更には、携帯電話(スマートフォン)を利用した盗聴・盗撮機器を直接発見する事も出来ません。しかもWi-Fiを使った装置の存在を否定することすら出来ないのです。
「実体調査」は「電波調査」では足りない情報を収集するのに最適でした。
そのお客さまは、今までに行った「電波調査」は、気になる部分の限定すらできずにただ闇雲に不安に思うだけで、一向に解決していなかったとのことです。
「実体調査」は、その不安材料に直接メスと入れます。
不審な物が何もない場合は無い事を確認できますし、不審物はあった場合は必ず発見できるのですから、そばで見ているお客さまの納得度合は「電波調査」では得られない満足度であるのは当然の結果です。
ササキ通信は、お客さまに寄り添う必要があります
ササキ通信では、この一件を境に大きく変わりました。
「電波調査」を行う場合、調査にかかる時間は少なくて済みます。簡単な作業ですので、盗聴波の反応がない場合は大きな建屋でも60分もあれば不審な電波の有無が簡単にわかります。
しかし「実体調査」は、その根拠を集めるには大変多くの時間を割きます。どんなに小さなお部屋でも2時間は必要ですし、広いお屋敷では、単純に面積に対して多くの時間が必要になります。
一件一件が大変な仕事なのは承知で取り組みますが、もちろん手を抜く事はできません。
その結果「実体調査」の認知・普及と高評価が次のお客さまに届き続ける事で、多くのお客さまの「安心と安全の回復」が実現できる事と信じています。
※MDF【Main Distribution Frame】: 主配線盤 / 主配電盤
MDFとは、電話局や集合住宅、ビルなどで、外部に通じる通信回線をすべて収容し、集中的に管理する集線装置。
マンションやオフィスビルなどのMDFは共用部に設置され、内外を繋ぐ電話回線や光ファイバー回線、CATVなどの加入者回線はすべてここを経由して各部屋、各フロアへ配線される。外から各部屋に個別に配線する場合に比べ、接続状態の変更などを一か所で集中的に管理することができる。
高層マンションや大規模な商業ビルなど大きな建物では、各階ごとなどの単位で「中間配線盤」(IDF:Intermediate Distribution Frame)と呼ばれる中継機器を設置し、MDFからこれを経由して各加入者へ配線する場合もある。※転載元
コンセントの「実体調査」
「コンセント」を調査した時の写真を使い、どのような点に注意して作業を行うのかをご覧いただきます。
コンセントは、盗聴・盗撮機器への電源供給が可能な配線が近くにある事が特徴です。
電線配管が近くまで下りていれば目視にて完了しますが、近くにない場合はマイクロカメラにて状況を把握します。
※お客さまには予め写真撮影と掲載の許可を頂いています。
画像① | 画像② | 画像③ |
調査のポイント
先ほどまで使っていたコンセントです。
これからコンセント本体を外し(画像②)、コンセントから電線管までの間の不審物の有無を調査します。
壁から外されたコンセント本体から、電線が電気配管まで伸びています。
画像③の写真で確認出来るのは、赤○で囲まれた電気配管の茶色のエンドキャップです。
基本的にはこの電気配管のエンドキャップまでに不審物があるかないかを調査します。
ここの作業は“不審物無し”として、お客さまにも確認して頂きこの現場の作業は終了しました。
盗聴器が発見された時の模様
「電波調査」に於いて盗聴器の発振する電波を捉えた場合と、同時並行で「実体調査」に於いて不審物の存在が確認された場合には、即座に不審物の排除作業を行います。
※お客さまには予め写真撮影と掲載の許可を頂いています。
画像④ | 画像⑤ | 画像⑥ |
画像④:サーモグラフィ照準ライトを照射
画像⑤:コンセントのカバーを開け、改めて照射
画像⑥:「検電器」で電気の通わない事を確認
画像⑦ | 画像⑧ | 画像⑨ |
画像⑦:コンセントのケースからねじを外す
画像⑧:盗聴器の電源供給源を目視、指で示す
画像⑨:盗聴器を取り外す「不審物の撤去作業」
※盗聴・盗撮機器の発見が調査作業により判明した場合は、その脅威の完全撤去は当然に行います。
また、必要であれば関係各所へのご相談や報告のお手伝いをさせていただきます。
スイッチの「実体調査」
「スイッチ」を調査した時の写真を使い、どのような点に注意して作業を行っているのかをご覧いただきます。
スイッチは、100ボルトの電源を持たないものが存在している為、盗聴や盗撮には利用できない物が存在します。
※お客さまには予め写真撮影と掲載の許可を頂いています。
画像① | 画像② | 画像③ |
画像①:調査対象の「スイッチ」
画像②:「スイッチ」の蓋を外す
画像③:「スイッチ」のねじを外す
画像④ | 画像⑤ | 画像⑥ |
画像④:「スイッチ」を壁から外す
画像⑤:電線管の露出を確認
画像⑥:エンドキャップ迄を確認
屋内配線の配線回路からいえる事
盗聴・盗撮行為を目的にした場合、盗聴・盗撮機器を設置する場所には電源の供給が必要です。
電池やバッテリーのような「一時的な電源」を使った場合、やがて時間と共に電池の喪失がやってきます。
しかし、屋内を網羅している100ボルト電源(電灯線)を利用した場合には、ほぼ半永久的に電源の供給が可能です。
上記の理由から、屋内配線を利用し直接電源供給を受ける装置の設置が効率的だと断定できます。
しかし、以下の図からは電源の確保が容易な物とそうでないものがあることがわかります。
コンセント① | コンセント② | スイッチ❶ | スイッチ ❷ |
コンセント①:100ボルト電源を探しやすい構造です
コンセント②:①と同じく100ボルト電源を探しやすい構造です
スイッチ❶:100ボルト電源を探しにくい構造です(この図では100ボルトの電位差はありません)
スイッチ❷:❶と同じく100ボルト電源を探しにくい構造です(この図では100ボルトの電位差はありません)
100ボルト電源を確保するに必要な配線器具は、コンセントが容易いでしょう。
スイッチだけでは確保100ボルトを確保できませんが、スイッチの近辺に100ボルト配線が近接していることがあります。
“スイッチは100ボルトが通っていないから調べる必要がない”と言い切れないのは、現場を知った者の意見と言えます。
いずれにせよ、「実体調査」ではコンセントとスイッチの両方を調べることの重要性は変わりません。
これらの配線器具の調査は必須であると言う理由です。
「実体調査」では室内の区画にあるすべてのコンセントとスイッチを調べる事を目的にしています。
浴室天井裏の「実体調査」
『浴室天井裏』を調査した時の写真を使い、どのような点に注意して作業を行っているのかをご覧いただきます。
※お客さまには予め写真撮影と掲載の許可を頂いています。
※掲載写真は調査物件がいくつか混在しています。
画像① | 画像② | 画像③ |
画像①:浴室天井の点検口蓋ずらす
画像②:蓋を上部に残置したもの
画像③:テレビアンテナ分配器を確認
ほぼ毎日使う浴室の天井に隠れた「屋内配線」を中心に調査します。
意外でしょうが、浴室の天井裏には「屋内配線」や「テレビアンテナ(同軸ケーブル)」などが張り巡らされています。
浴室は「盗聴」の他に「盗撮」の心配がある場所でもありますので、その点を注意しながら「目視」と、場合によっては換気扇の内部調査用に「マイクロカメラ」を使います。
画像④ | 画像⑤ | 画像⑥ |
画像④:浴室天井裏の屋内配線
画像⑤:浴室天井裏の換気扇ダクト
画像⑥:画像隣接する区画の調査
コメント
ほぼ毎日使う浴室の天井に隠れた「屋内配線」を中心に調査します。
意外でしょうが、浴室の天井裏には「屋内配線」や「テレビアンテナ(同軸ケーブル)」などが張り巡らされています。
浴室は「盗聴」の他に「盗撮」の心配がある場所でもありますので、その点を注意しながら「目視」と、場合によっては「マイクロカメラ」を使い調査にあたります。
※浴室天井裏の調査は、二次的な調査も行います。
過去にあった事例では、隣の区画との空間は共有されており、「空間同士を自由に行き来出来ない様に“木の板”で塞がれただけのもの」でありました。
この調査では“木の板”が固定されているか、また過去に“木の板”が外された経緯がないかを確認します。
当然お客さまには、その旨注意喚起をさせていただきます。
照明器具の「実体調査」
天井に配置されるローゼット上部を調査する際に重宝する「マイクロカメラ」。
今回は特にマイクロカメラの出番が多い作業です。
屋根裏作業に準ずる位置づけで、照明付きのマイクロカメラが大いに役に立ちます。
画像① | 画像② | 画像③ |
画像①:ローゼットからシャンデリアを外す準備
画像②:ローゼットからシャンデリアが離れたところ
画像③:「ローゼット本体」と「取付金具」の分離作業
画像④ | 画像⑤ | 画像⑥ |
画像④:高張力コードの収納ケース内部の目視
画像⑤:「マイクロカメラ」を使った調査
画像⑥:「マイクロカメラ」で隠蔽配線を調査
実際の作業では、お客さまに「マイクロカメラ」から送られてくる画像をご覧になりその内部をご自身の目で確かめていただきます。
「脅威の排除」とは、そこに何があるのかだけではなく、そこに何も無い事を確かめて頂く事でもあります。
ここの作業は“不審物無し”として、お客さまにも確認して頂きこの現場の作業は終了しました。
照明器具が盗聴・盗撮機器の設置場所として好都合な理由
盗聴機器や盗撮機器にとって、最大の障害は近くから発せられる「音」
エアコンや冷蔵庫などが発する「音」は、秘匿情報を収集しようとする者にとっては騒音になる事でしょう。
従って、特別な理由がない限りエアコンや冷蔵庫などの「音」を発する電化製品に盗聴・盗撮機器は設置しないと思われます。
反対に静寂性の高い照明器具は、「音」を発しない事から盗聴・盗撮機器の設置に適している場合があります。
照明器具の種類(隠蔽設置可能場所)
※ローゼットが近くにある為、盗聴器などを隠蔽しやすいからです。
青○は隠蔽設置をしやすいが、発見もしやすい器具の場所です。
※ローゼットが近くにない為、盗聴器などを隠蔽しにくいからです。
家電製品の「実体調査」
今回も「マイクロカメラ」の出番が多い現場のシーンです。
エアコンに盗聴器の設置を積極的に行うことは少ないと考えます。
理由は、エアコンの電源が100ボルトの他、200ボルトである事もあるのや①季節製品であり、近隣のコンセントから電源供給プラグが外されている場合があること②エアコン稼働時には風を切る音を拾う為、盗聴や盗撮には向いていない機械であること、などが挙げられます。
しかし、設置の前例はありますし、お客さまのご希望があれば当然積極的に調査させていただきます。
調査の目的は、「脅威の完全排除」と「安心と安全の回復」であるからです。
画像① | 画像② | 画像③ |
画像①:エアコン用コンセントの調査(100、200V共)
画像②:エアコンの室外機への電源部分の調査
画像③:エアコンの室外機への電源部分の調査
画像④ | 画像⑤ | 画像⑥ |
画像④:マイクロカメラがエアコン内部情報をスマホに映す
画像⑤:マイクロカメラを移動して知りたい情報を調査
画像⑥:マイクロカメラから送られた画像
照明器具の「実体調査」と同じく、実際の作業ではお客さまに「マイクロカメラ」から送られてくる画像をご覧になりその内部をご自身の目をもって確かめていただきます。
「脅威の完全排除」とは、そこに何があるのかだけではなく、そこに何も無い事を確かめて頂く事でもあります。
※100ボルト電源で働くエアコンの場合は、エアコンプラグからエアコン本体に繋がる電源供給部分の調査が必要です。
「マイクロカメラから送られた画像」は「室外機用電源」部分です。
ここの作業は“不審物無し”として、お客さまにも確認して頂き作業は終了しました。
屋根裏の「実体調査」
新築住宅の建築現場
左の写真は新築住宅の建築現場を撮影したものです。
この状態では屋内配線が簡単にわかるので、どこに何があるかは一目瞭然ですが、工事が終われば屋内配線は完全に閉ざされてしまう為、どこに何があるかは分からなくなります。
画像① | 画像② | 画像③ |
画像①:屋内配線や電線管の露出映像
画像②:屋内配線や電線管の露出映像
画像③:屋内配線や電線管の露出映像
経年家屋
画像① | 画像② | 画像③ |
画像①:築後20年を経ている家屋の屋根裏
画像②:築後20年を経ている家屋の屋根裏
画像③:築後20年を経ている家屋の屋根裏
経年家屋であっても、屋内配線経路は予測がつきます。
これらの電線は各部屋に電源を供給する為に侵入経路を持ちます。
天井やその近辺に仕掛けられた盗聴・盗撮機器の設置がある場合はこの天井裏の調査が有効と考えます。
写真にはありませんが、床下空間の調査も同じくオプション作業をして調査対象としています。
※1階と2階の中間空間を調査する場合、「マイクロカメラ」で代用させていただきます。