『スペクトラムアナライザ』を使った高周波信号解析
目に見えない電波の実態を表現
『スペクトラム・アナライザ』は「高周波信号解析装置」の一つです。
日本に限らず、世界中に飛び交う電波(「電波法」で言う電波)をディスプレイ上に表示させる事ができます(「電波法」では、電波とは、3kHz~3THzであると定義されています)。
やみくもに「ラジオ」や「テレビ」や「携帯電話」や「アマチュア無線」、「航空機用無線」などの周波数帯が勝手に使われないように、総務省では電波を管理する機関を設けています。
※詳しくは、『周波数の割当て』のページをご覧下さい。
電波とは、伝播する距離に乗じて減衰してしまうので、世界中の電波を世界中のどこからでも観測できるのものではなく、観測地点に於いてより強く伝播する電波を捉えて観測されます。
上記の様に、電波観測に於いては力強い威力を発揮する高周波信号解析ですが、『スペクトラム・アナライザー』は今発射されている電波を捉える事が目的の装置ですので、今発射されていない電波の補足は当然に出来ません。
従って、電波の観測を目的にしていない「実体調査」がその穴埋めをする事になります。
スペクトラム・アナライザーだけに頼らず、「実体調査」などの他の手法をもって調査を補う必要があるという事です。
俗称『800MHz帯』を捉えた時の画像
『800MHz帯』とは、730 – 960MHzの範囲内の周波数帯(プラチナバンド)の中にあり、「au」、「NTTドコモ」が総務省の総合通信基盤局によって割り当てられています。
「au」:上りが815MHz~830MHz 下りが860MHz~875MHz
「NTTドコモ」:上りが845MHz~850MHz 下りが890MHz~895MHz
実際の電波状況は、このスペクトラムアナライザの解析によって頻繁に稼働しているのが分かります。
地上デジタル放送が本格的に始まる前は、770MHzまでがテレビ放送用として割り当てられていましたが、地デジ化で710MHzまでに圧縮され、それにより空いた周波数帯へ携帯電話事業者向けに割り当てが行われています。
俗称『1.7GHz帯』を捉えた時の画像(1/2)
『1.7GHz帯』とは、「ソフトバンク」、「NTTドコモ」が総務省の総合通信基盤局により割り当てを受けています。
「ソフトバンク」:上りが1749.9~1764.9MHz 下りが1844.9~1859.9MHz
「NTTドコモ」:上りが1764.9~1784.9MHz 下りが1859.9~1879.9MHz
この周波数帯は、電波の飛び方が直進性に優れているため、データ通信に使われています。
俗称『1.7GHz帯』を捉えた時の画像(2/2)
『1.7GHz帯』の横軸を拡大した画面です。前出の画面と比べると、大分見易くなりました。
更に拡大する事も出来ますが、細部を見ると全体が見えなくなるのがこのスペクトラムアナライザーの特徴です。
自分が何を追っているかを見失ってしまうと、現在の位置を見失ってしまいます。
俗称『1.7GHz帯』を捉えた時の画像(1/2)との違いは、左の赤色のマルで囲った部分が1/3になっています。お分かりでしょうか。
『電波発振器(盗聴器)』の発射する電波を捕捉した時の画像
『電波発振器(盗聴器)』の存在が判明した瞬間の画像です。
このときの捕捉周波数は、「400.87MHz」であるとスペクトラムアナライザーが示しています(白矢印)。
この辺りの周波数では『盗聴6波』と呼ばれる極超短波(Ultra High Frequency)帯周波数のAチャンネルの398.605MHz Bチャンネルの399.455MHz 更にはCチャンネルの399.030MHzが存在します。
とがった針状(赤○)の極細いが強い電波(黄○)が発射されているのを捉えています。
この特徴的な波形は、盗聴器などの小型発振器である事が多く、更に観測地点のそばからの発射である場合が多数です。
『スペクトラムアナライザー』は電波発振器を発見する機械ではないので、この時点では、どこに発振器があるのかは分かりません。
その後、弊社作業員は別の装置の『電波受信機』を使い電波の発信源を確認します。
多くは『電波受信器』のみで見つける事が出来ますが、見つけられない場合は『サーモグラフィー温度測定装置』などへその作業を引き継ぎます。
※『サーモグラフィー』を使った作業の内容をご確認頂くには、『サーマルイメージ放射温度測定(サーモグラフィー温度測定)』へリンクできます。
無線LAN『2.4GHz帯』を捉えた時の画像
『2.4GHz帯』(黄色楕円小マル)を利用するデバイスには、Wi-Fi(ワイファイ)などの無線LANに代表される『無線ルーター』があります。
出力の低いBluetooth(ブルートゥース)も実はこの周波数帯で活躍しています。
この周波数の特徴は、勢いよく不特定時間に幅が広く帯状に見える通信を行った(黄色楕円大マル)後、その勢いパタッと止む傾向にあるのがよく分かります。
スマホのカメラで撮影を試みましたが、余りにも活発に動いている波形ですので、写真ではその残像しか捉えられませんでした。従って、スマホカメラを動画モードにして撮影しました。